岩崎大貴 ブログ

モニターの音量がもたらす声帯の変化

モニターの音量がもたらす声帯の変化


■「練習ではうまく歌えたのに、、、」
よく聞く言葉だ。それから僕自身もそう言いたくなるライブを何度もしたことがある。
以下、前からわかってはいたが、再認識したこと。
モニターの音量についての記述。

リハーサルでは正確なピッチ(音程)で、それから十分にリラックスした状態で歌えるのに、
いざ本番になると急にピッチが下がり、叫んでしまうシンガーがいた。
後ろでキーボードを弾く僕は、ライブ中に「なんでだろう」なんて考えながらパフォーマンスをこなしていたものだ。

リハーサルもそうだったが、彼が自宅で弾いた弾き語り音源に至っては、
遠慮しがちな面はあるものの、もはやこれが彼の理想型なのではと思わせるほどボーカルバランスがとれている。一体何がこれほど本番と練習のクオリティの差を生んでいるのか。彼の場合、緊張とかではなさそうだった。

そんな彼に不勉強だった僕は「もっと力を抜いたらどうか」など、曖昧なアドバイスをしていたが、大きな成果は得られなかった。


■いつかのリハーサルで、彼の歌のクオリティが上がったことに気がついた。
Aメロではしっかりと腰を据えた重みのある声帯レベルで、それからサビではその声帯レベルを引きずらず、高音発声モードへと移行できている。
「隠れてボイストレーニングでもしたのか?」
彼に聞いても「No」。むしろ近頃は練習の時間を十分に作れていなかったという。

僕がいぶかしく考え込んでいると、ベーシストが口を開いた(このときはバンド編成だった)。
「メインスピーカーが彼のほうに向いてるから歌いやすいんじゃないの?」
その言葉を聞いてハッとした。
何でこんな単純なことに気がつかなかったのだろう。室内でボイストレーニングの専門書ばかり読んで、頭でっかちになっていたことの弊害かもしれない。シンガーはライブをする。ライブをする以上、スケール(音階)練習だけでは知り得ないテクニックがある。

■ボーカルがバンドの音量に埋もれたとき、多くのボーカリストは自分自身で音量をあげようとする。
結果、叫ぶ。叫ぶというのは、つまり、母音が広がる。
「君をあいしてるーーー」

「君をあいしてらーーー」
に聞こえてしまうような、それだ。

「あ」「え」などの広い母音は、声帯を厚くしやすい。
声帯が厚くなると、声帯の振動スピードが落ちる。振動回数が減ると、音は低くなる。つまり低音発生時の声帯モードに移行しやすく、ピッチが下がりやすくなる。

試しに、「AA」の発音(「あ」と「え」の中間。)で、自分が地声で出せる最高音をロングトーンで出してみてほしい。
その次に、「UH」の発音(「お」に近い「あ」。)で同じことをしてみてほしい。どちらが出しやすいか、他人が聴いても、自分で感じても、差は歴然だろう。もしも前者だとしたなら、ひどく叫び癖のあるシンガーの可能性あり。



その2に続く。
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by yataro1030 | 2013-08-19 14:50 | クワイアと発声

岩崎大貴(ひろき) ボーカル、クワイアディレクター岩崎大貴の日々の報告。
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